今僕は、歌詞を書いてからメロディーをつくるんですが、これは詞を書くより前に、演奏ができあがっていて。うちの有くん（Dr）が、すげえ曲を気に入ってたんですけど、この歌詞を見た瞬間に、「えっ？」って（笑）。「なんて歌を作ってくれてるんだお前は」って、周りがどよどよ、どよどよし出しちゃって（笑）。まさに最初はお蔵入りになるっていうような状況だったんです。

　まあそうですよね。「city talk」を作って、「J-POP」を作って、じゃあその次のアルバムですってなったときに、"暗っ！"みたいな。もっとパンッと明るく弾けようぜ！みたいなところがあったんです。けど、それも大事なんだけど、そうやってバーンって弾けるだけの音楽はしたくないんだよって話をして。

　すごくメンバー間で揉めたし、当時一緒にやっていたスタッフとかも揉めましたね、この曲の時期は一番。レコーディングの途中で、あまりにも歌詞が尖ってるものだったんで、もう詞を替えようと、僕が歌ってる横で、メンバーやスタッフが別の歌詞を書き始めたりもしちゃってて。

　替えた歌詞で一回歌ってみようかって、それを歌いながらもうなんか悲しくなっちゃって。何が言いたくてここで歌ってんのアホみたいって思って、もうワーワー泣いちゃって。それからトイレにこもって出てこないっていう（笑）。もう今日はレコーディングしません！　ガチャって。迷惑かけましたね。若かったんで、まだ。っていうのもありました。

　なんですかねえ……。全部……じゃないですか？　基本100%満足して生きてる人間なんていないでしょ。とは思っている。

　大変じゃない人間はいないと思うし、与えられたシチュエーションだとか、その環境内で大変さの度合いだとかいうのはもちろん違うと思う。それぞれに悩みはきっとあると思うから、足りないものっていうのは、たぶん全部だと思いますね。

　愛情もそうだし、誰かに対しての憎しみとかもそうだし、喜びとかもそうだし……。現状に満足してるかって言ったら、"100%満足してる"とは、"幸せです"とは、やっぱりね、言えないし。足りないものはきっと誰でもある思うし、その足りないものを得るためにみんな生きてるわけだし……。

　仕事病なんて言ったら大げさなんですけど、曲です。何かを足りないと思うがゆえに、ブワーッと書き足したその文字が、言葉が歌になって、それが曲になって、それでみんなの前で演奏して、それをCDというパッケージにして出していく、っていうことかな。曲だと思います。

　何気ないものだったりするんじゃないですか？　仕事帰り、ちょっと今日は友達みんなと久しぶりに飲みに行こうかって、何気なく連絡したら、何気なくみんな空いてた。それで集まっておいしいもの食べようぜってなって（笑）、おいしいもの食べる瞬間とか。たまたま行ったマックのコーヒーがおいしいとか。そういうものだと思います。なんかそういうちっちゃいものに、たぶんみんなちょっとした幸せを感じるわけで……。

　でっかい夢描いていこうぜ！みたいなのっちゅうのは、あんまり共感得られないですね。一番フラットに、リスナーに近い、そういうところで常に物事を考えていたいなとは思うんですけどね。聴いている人たちと同じ位置で生活している中で、そこから出てくるちっちゃい不満だったり、隣のおじさん周りも気にせずにバンバンバンバンたばこ吸いやがってムカツクな、みたいなものを書けたらいいなと思っています（笑）。