Keep ON本誌のアナザーストーリーをお届け!

 Keep ON 2016 AUG vol.23 
INA

知らない地に足を踏み入れたとき、人は全身の毛が逆立つようなゾクゾクとワクワクを感じるが、hideがくれるのはまさにそれだ。この感覚を頼りに、INAの発した“未来人”という言葉が、なぜ彼の口をついて出てきたのかを探る。
「子 ギャル」の制作過程について伺った、本誌記事と合わせてどうぞ。

2016.11.01(Tue.)UP

hide(※1)とともに共同プロデューサーとして長年楽曲制作を行い、アーティストとしてもステージに立つINA。インタビュー中、彼がhideを称した"未来人"というフレーズが、その後も頭から離れない。なぜINAは彼をそう呼んだのか。"未来人"が残したアイデアは、現代の力で具現化され、未知の土地に立ったときの、あの心躍る感覚を聴く人の中に生み出している。

20年後とシンクロしたhideの言葉

—— INAさんはプロデューサーとしてだけではなく、アーティストとしても活動されています。これまでに立ったステージの中で、いちばん印象的なものは?

 僕がステージに立ってたのって、hideと一緒にやってたころとその後バンド活動してたころだから、ずっと前。X JAPANのサポートはステージの見えないとこに隠れてるから……うーん、よかったライブはいっぱいあった。逆にhideが亡くなった後にやった本人不在のツアー(※2)は、もう本当につらかったですね。

—— INAさんが出演するステージというと、近いものでは7月の"MIX LEMONeD JELLY2016"(以下、MLJ)ですよね。(取材は6月下旬でした)

 MLJって、もともと20年前にhideが立ち上げたジャンルレスなイベントで。サマソニとか最近のイベントや夏フェスの先駆けのような、いろんなものが混ぜこぜになってるイベントってよくいわれるんだけど、それが久しぶりに再始動します。

—— はい。

 あと12月13日‬のhideのバースデーに合わせて行われるイベント。もうずっと毎年やっていて、それはずっと……いつまで続くんですかね?
松本裕士(hideの実弟でありパーソナルマネージャー、hideの事務所の代表取締役を務める):僕が生きてる限り(笑)。
 あぁ、そうですか。結構、友達関係もいい歳になってきたから(笑)。

—— (笑)MLJもそうですが、やっぱりhideさんは、ワクワク、ゾクゾク……するような、驚くアイデアの持ち主だなと感じます。hideさんと活動をする中で、度肝を抜かれたことなどは?

 彼はやっぱり面白くて、頭のいい人だったね。例えば去年、世界最先端技術のホログラフィック立体映像(=CG)でhideのソロライブ公演を実現させた劇場があって。hideは、27、28歳のときレコード会社の人に「いつまでメイクしてビジュアル系をやってくの?」って聞かれて、「俺はいつの間にか引っ込んでて、完璧なアーティストをCGで作って、それがhideっていう名前でやってんだよ」みたいなことを言ってた。

—— まさにそのとおりに。

 20年後に本当にCGで、完璧に3Dでっていうのが現実になってる。もちろんhideが言ってたから(そうした)ってわけじゃなくて、シンクロして現実になってる、っていうのがある。

—— リアルの世界が、hideさんの言葉とシンクロして。

 「子 ギャル」(※3)も、人間がやってたものを切り刻んで編集して、再構築してロックを作る、これはサイボーグロックの究極じゃないかなぁなんて思う。彼の言ってたことが後々につながってくことは多いよね。そういえばあのとき言ってたこと、今現実になってるねってね。だから(いつも発言が)印象的だったんだというのが、後からわかる。

—— まるで、未来が見えていたような?

 そう、未来人だからね。未来から来た人だから(笑)。

だって、学校ほとんど行ってないもん!

INAが展開する『電脳音楽塾』は、類を見ない音楽の学校だ。音に合わせて体が動き出してしまうような、アイデアの詰まった授業内容を知るとついつい行ってみたくなる。心躍らされるという点で、ここにもhideのエッセンスがあるように感じた。

—— INAさんは現在『電脳音楽塾』を展開されていますが、学生時代に受けたかったと思う授業はありますか?

 電脳音楽塾の講師にはライターやエンジニアの人や、音楽業界で知り合ったいろんな人がいるんだけど、「自分たちが若いころこういうのがあったら受けたかったな」って言ってやってる(笑)。

—— 2012年にダンスの授業が必修になったのですが、私そのとき卒業目前で、受けたかった、残念だなと思ったんです。今、INAさんが必修にしたらいいと思う授業というと?

 わかんない! だって俺、学校ほとんど行ってないもん。

—— ははははは!(笑)

 授業だったら、面白くないんじゃない? HIP-HOPダンスだって、誰に教えてもらうかにもよるでしょ。学校の体育の先生がつけ焼き刃で覚えたのを教えてもらったって、嫌になっちゃうかもしれないし。

—— 確かにそれはあります。

 俺学生のとき、音楽の授業、大嫌いだったから。学校で教えてもらう音楽なんて面白くないでしょ? 何も覚えてない。だから学校の勉強がどうっていうより、自分が何をしたくて何を学びたいかっていうほうが重要じゃないかな。


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PROFILE

INA
(イナ)

本名・稲田和彦。音楽プロデューサー&電脳楽士☆稲田師匠。
X JAPANのサポートを務め、特にhideとは二人三脚で楽曲を制作していた。DJなどアーティストとしてもステージに立つ。現在、音楽ワークショップ『電脳音楽塾』も展開中。

電脳音楽塾 HP
INFORMATION

ALBUM
『子 ギャル』
3240円(tax in)

INA ALBUM 『子 ギャル』

2014年12月10日発売

収録曲

1. 子 ギャル
2. Junk Story
3. In Motion
4. TELL ME (hide with Spread
  Beaver)
5. HURRY GO ROUND
6. ever free
7. ピンク スパイダー
8. ROCKET DIVE
9. GOOD BYE
10. Hi-Ho
11. Beauty & Stupid
12. MISERY
13. TELL ME
14. DICE
15. 50% & 50%
16. EYES LOVE YOU
17. 子 ギャル (demo)

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