Keep ON本誌のアナザーストーリーをお届け!

 Keep ON 2016 FEB vol.22 
サスケ 響き合うステージ

ぼやけた景色が彼らの優しい歌声でより鮮明になってくる。経験したことがないのに涙が出る。自然と口角が上がるときもある。サスケの音楽は、いつだって私たちの感情を豊かにしてくれる。ここでは、そんな彼らがステージの上で何を感じているか、アーティスト側になりたい人へ贈る言葉も聞いてみた。本誌記事と合わせてどうぞ!

2016.03.03(Thu.)UP

「青いラブソング」からは、とあるカップルの情景がはっきりと浮かぶ。「青いベンチ」が思い出となっている二人の、懐かしくも切ない、なんだか愛おしい思い。主人公の抱いているその気持ちが、耳から聞こえるその優しい音によって自分の胸の中にわいてくる。
聴き手の感情を引き出す彼らが、自分自身の感情といちばん向き合える場所はステージだというが、二人はそこで何を感じているのだろう。

自分が書く「君」の言葉に泣けてくる

——「青いラブソング」のみならず、お二人の楽曲からは歌詞の場面がまざまざと浮かんできて、自分がその主人公であるかのような気持ちになれます。こういったストーリー性のある歌詞はご自身の体験から生まれるのですか?

北清水 身の周りにあることをそのまま書くこともあるし、自分自身をそのまま投影してる歌じゃないときでも、主人公の気持ちになって泣けたりとか。

——というと……?

北清水 ラブソングで「オレ」っていう一人称がいて、「君」がいるわけですけど、自分で書いていて、その「君」の言葉に泣けてきたりするんですよ。「君」はこの言葉が言えるのか、言ってくれるのかとかね。自分が入り込んで感じながら書くことで、情景もストーリーもそのまま出てきます。

——入り込むといえば、小さな頃から聴いていた「Smile」を上京して、10年経ってあらためて聴いたとき、今まで以上に自分が深く歌に入れた気がして、すごく共感したんです。

奥山 僕、尾崎豊の「I LOVE YOU」が昔からすごい好きで。中学のときとかって本当に何げなく聴いてたんですよ。でも今あらためて聴くと、心の叫びだったり、こんなに若いのに自分のことを知って、こんなに自分で表現できてたんだって、そのすごさを感じたりします。今聴いてもすごく大人な歌詞に聞こえるし、あらためて聴いてこれが10代、20代のときに書いてた曲なんだって感心するようなことは多いですね。
北清水 僕は、長渕剛さんが好きで音楽始めたんですけど、中学生の頃、なんか響いてるんだけど、その正体がわかんなくて。それが20年聴き続けて自分が経験して大人になっていくことで、あ、こういうことだったんだ、こんな良い歌だったんだってあらためて気付くこともありますね。

——ちなみにどんなことに?

北清水 本当にたまたま昨日感じたことなんだけど、長渕剛の「I love you」って曲。それこそ最初タイトル見た時に、尾崎豊も好きだったし、誰しもがアイラブユー=尾崎っていうイメージだから、長渕が「I love you」って曲を書いたことに自分の中で期待値も高まっていて。でもなんかその当時は、ちょっとエロティックソングの下ネタかいみたいな受け取り方をしてたんですよ。

——それが大人になった今では?

北清水 なんかね、歳を経ていくとこれすごいいい歌詞だなって。聴き方が変わってくるっていうか。この歌3番まであるんだけど、3番でブランドとかそういう価値のあるものとかじゃなくて、俺らが本物であればいいんじゃない、俺らの愛がっていう男と女の恋愛の神髄みたいなことを歌ってて。これはすごいアプローチしているなとかそんな風に聴いたりしますね。

みんなの笑顔、涙がこっちに響いちゃう

——本誌のほうで、いちばん自分の感情と向き合える場所はステージだ、というお話をしてくださいました。

奥山 自分が見ていた、その(同じ)場所でライブしてるときっていうのは、何で自分たちがここにいるんだろう? って思ったり、ああこういう景色なんだなって、あらためて感じられる場所だったりする。

——客観的に見ている自分もいるんですね。

奥山 それは今もそうで、どこの会場行っても。ステージから見る景色ってこんな感じなんだ……って、どこ行っても同じ気持ちになれるというか。

——それは慣れないものですか?

奥山 そうですね、当たり前ではないかもしれないですね。去年の学園祭で全国回らせてもらったんですけど、やっぱりどこ行っても歌ってくれる、待っててくれる人がいる。それは慣れないというより、すごくありがたい、幸せなことだなって。もちろんずっと感じていることなんですけど、あらためて今回感じたことかもしれないですね。

——ステージ上ではそういうことを思っているのですか。

北清水 自分らも音楽を始める前は、リスナーやファンとしての自分たちしかいないわけですよね。リスナーのときは好きなアーティストはどんな思いでステージ立ってるんだろうとか、気持ちいいんだろうなとかいろいろ想像かき立ててたんだけど、ステージに立ってみると、まあ気づくことがいっぱいあって。

——アーティスト側になって見えてきたことが。

北清水 (ステージの)アーティストは、それとない感じでやってるように見えてたんですよね。でもやっぱりすっごい揺さぶられてるわけですよ、内心。みんなの笑顔、涙見たときにこっちに響いちゃう。

——リスナーもアーティストも、お互いすごく感情が素直に出ますもんね。

北清水 だからきれいごとじゃなくて、やってる側にしてもお客さん側にしても、音楽ってすごいピュアなものだから。なんかピュアな俺たちでいるよねって感じがすごいするんですよ。

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PROFILE

サスケ

▲ 写真左から
奥山裕次、北清水雄太。

2000年に結成。09年に一度解散したが、デビュー10周年を迎えた14年に再結成。昨年AWAの、05年以前にリリースされた楽曲再生ランキング(年間)で、代表曲「青いベンチ」が1位を獲得した。

OFFICIAL WEB SITE
INFORMATION

MINI ALBUM
『虹を探すひと』
2500円(tax in)

サスケ MINIALBUM 『虹を探すひと』

2015年03月6日発売

収録曲

1.ララルンラン♪
    ~夢の国への合言葉~
2.虹を探すひと
3.you
4.Sugar Shrimp
5.甘い果実
6.この人生を闘う戦友たちへ
7.卒業の日 ーPiano Ver.ー

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