体に染み渡るピアノの音、そして変わった角度で書かれた歌詞は、間違いなくLAID BACK OCEANの魅力のひとつだ。ここでは、楽曲の作詞を手がけるYAFUMI(Vo)の、過去を乗り越え進化した"今"を、聞く。
詞に対するこだわり、視点の変化で詞を生み出す彼の世界の見つめ方を伺った本誌記事と合わせてどうぞ。
体に染み渡るピアノの音、そして変わった角度で書かれた歌詞は、間違いなくLAID BACK OCEANの魅力のひとつだ。ここでは、楽曲の作詞を手がけるYAFUMI(Vo)の、過去を乗り越え進化した"今"を、聞く。
詞に対するこだわり、視点の変化で詞を生み出す彼の世界の見つめ方を伺った本誌記事と合わせてどうぞ。
いつも想像の斜め上から心を撃ち抜くLAID BACK OCEAN。"今が記憶を消されて戻ってきた10年前だったら、あなたはどう思う?"、そう歌う「忘れる力」は、聴いていると体に染みついた忘れたい出来事がすっと消え、走り出したくなる楽曲だ。そんな曲を手がけるYAFUMIが、過去の経験を乗り越えてきた今語る、自身に起きた進化とは。
さらに、今号『Keep ON』本誌のテーマ、"NEW GAME"にちなんだこぼれ話も。彼の◯◯的存在はとても身近に……⁉︎
人間の持っている、リセットできる権利
—— 「忘れる力」の歌詞は、ご自身の忘れたい過去の経験をもとに作った曲なのでしょうか?
うーん。「忘れる力」から、忘れたい過去っていう話になると、なんかちょっと違うかなって思うんですよね。
—— 忘れたい過去についての歌ではない?
自分で何かを特別に忘れてどうこうっていうよりは、リセットできる権利、リセットについての心構えを歌っている歌で。まぁ忘れたい過去のひとつやふたつはあるんですが、これが忘れたかった過去ですっていうのとはちょっと違うし、忘れたい過去は言いたくないというか(笑)。
—— そうですよね(笑)。
忘れてもいいこと、忘れてはいけないこと、忘れるべきことっていうのが、起こる事柄の中にはある。人間の持っている大きな権利というか、特性として、「選んで忘れることができる」んじゃないかと。人間って生まれ変わることはできないけれど、リセットの権利を持っていると思っていて。ずっとそんなものを抱えていなくていい、簡単に忘れちゃっていいんだよってことを言いたかったですね。
—— なるほど。でも、忘れたいことって時間が経っても忘れられないと思います。人は大なり小なり忘れたいことをいくつも持っている。そういうものと、YAFUMIさんはどうつき合っているのでしょうか?
僕の好きな、歌詞にもなってる"What doesn't kill you makes you stronger."って、"自分を殺さないほどのものは自分を強くする"って意味の言葉なんです。僕の人生、今までいろんなことが起きてきたんですよ(笑)。なんでこんなに起きるんだろうって思ったときもあったんですけど、その一つひとつを自分が超えるたびにそれが強さになっていったなっていうのは実感としてあります。だから比較的、受け止めて生きてきてるほうなんじゃないですかね(笑)。
—— 受け止めた後、それをどう、次へつなげますか?
勝手につながっていくな(笑)。でも何が起きても大事なことを絞れるようになったっていうのはありますね。くよくよする夜もあるんすけど、そんなときほど自分が何をやりたいのか、やるべきなのかっていうのを明確にする。そうすると、捨てていくものがはっきりするっていうか。それは年々強くなっていってる気がしますね。
日曜日ってスターっぽいじゃないですか(笑)
—— くよくよする夜ほど、見極める。「忘れる力」の歌詞は、暗いものが明るくなっていくイメージですよね。その中で、「せんたくのじゆう」に日曜日は火曜日に憧れている、という箇所がありますが……
いい歌詞ですねぇ(笑)。
—— また少し変わった目線のフレーズで。すごく考えてしまいました、なんで火曜日なんだろうと(笑)。
なんでですかね。それは、あんまり説明したくないところでもあるんですけど、あえて説明するのであれば、単純に日曜日って、ちょっとスターっぽいじゃないですか(笑)。火曜日ってなんか、何でもないっていうか。
—— 何でもない火曜日に憧れる、スター日曜日。水曜日でもなく木曜日でもなく、
火曜日。うん、あんま意味ないっすね(笑)。でも、自分の中でしっくり来た表現。
—— そんなYAFUMIさんの斜め上を行く歌詞は、たくさんの音楽経験があってこそ生まれたものだと思うのですが、LAID BACK OCEANだからこそ挑戦したいことなど、ありますか?
やっぱり人がやってないことをやりたいですね。そう言うと安っぽい言葉になっちゃうけど、ライブでのメンバーの並びとか使う楽器とか、誰も見たことがない景色を見せてあげたい。それにメンバー、すごい仲がいいんです。いろんなバンドやってるといろんな時期があって、ただただかっこいいものを追い求めてるときもあるし、メンバーの仲が悪かったりもあるし、頑張ってるけど世の中と合ってないなっていう感じがするときもある。
—— バンドには本当にいろんな時期が。
でも、LAID BACK OCEAN、今なんか歯車が合ってる感じがするんですよ。それってなかなかないことだと思って。その空気って伝わると思う。自信を持ってやってるさまと、メンバーのモチベーションの高さ。そういうのが伝わるライブがやりたいかなー。で、それがまた別の角度で刺さって、抜けないみたいな。
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LAID BACK OCEAN
(レイド バック オーシャン)
YAFUMI(Vo)、KAZUKI(G)、YUKA(Piano)、KYOHEI(B)、SEIJI(Dr)。
2010年結成、5人組ピアノロックバンド。所属事務所が同じUVERworldの「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」(昨年5月発売)の楽曲制作、ミュージックビデオにYAFUMIが参加した。海の日に行うライブは毎年恒例で、今年も期待。
3rd mini ALBUM
『心の箱』
1500円(tax in)
2012年08月22日発売
収録曲
1.心の箱
2.最初の日 最後の日
3.忘れる力
4.TOKYO ~no turning back now~
5.MY STORY
6.僕のかわりに