スイミングスクールの先生とかカラオケ店、レストラン、カーテンの店、派遣で引っ越しの手伝いとか、倉庫の仕分け作業とか、バイトはいくつかしてみたよ。でも上司がリスペクトできる人じゃないとどうしても、「おまえの言うことを聞くもんか」みたいな気持ちになっちゃうんです。 僕がダンスで飯を食っていこうと思ったのは、人に使われる仕事が嫌だったから。やっぱり興味のないことやってお金もらうより、好きなことをやってお金もらえるんだったらそっちのほうがいいに決まってるじゃないですか、ねぇ？(笑)　自分の好きなダンスをやってそこにお金もついてくる、そんないいことはないなって。

レッスンやって小遣い程度もらうことって、ダンスをずっとしている人だったら大抵できる。ただ、自分で遊ぶ程度、家賃を払う分ぐらいはいいんだけど、ずーっとそれでってなるとちょっと……って感じです。正直、ダンスだけでやっていくのは無理ですね。そこはわかった上で追いかけたほうがいい。
こんなはずじゃなかったって10年後に言うよりは、今からわかって走っていったほうがいい。"ダンスだけ"じゃなくて、"ダンスを軸に羽ばたいていく"っていうほうがいいと思います。ダンス一本で食っていくっていうニュアンスは、これからの時代はやめたほうがいい。
それは他の仕事でも言えること。この会社に就職して、いいとこやからここ１カ所に勤めてれば死ぬまで面倒見てもらえるっていう会社は今はもうない。それと一緒です。ダンサーやってれば、死ぬまで大丈夫っていう考えは、ちょっと危険だと思います。

僕仕事自体は7つぐらい持ってるんですよ。軸はダンスで、そこから羽が生えていった。地元にダンススタジオがあったり、よしもと所属になったことでお笑いのステージをもらえたり、NHKのストレッチマンとか。話をすることが好きなのと首の手術のこともあって、「ちょっとうちでそれ話してくれ」みたいに講演会の依頼が結構来るんです。あとはグッズ物とかの通販。実はいろいろビジネスとして持っています。

身に染みて感じるのは、自分のためよりも人のためになることをたくさんしていたほうが広がるということ。
昔は、自分さえ良ければそれでいいって、自分のことしかしなかった。毎日毎日ブレイクダンスの鍛錬するのも、周りの人は「すごいね」「毎日えらいね」って言うけど、結局自分がやりたいことを腹一杯やってるだけだから超わがまま。で、自分ではどうにもならないことに触れたとき、「嫌い」って言うんですよ。思うようにいかないから、俺には向いてないって。でも、それじゃダメなんだなって思うようになった。
自分のことを追いかけるのもいいけど、自分だけのために生き抜いた結果、虚しい気持ちになるし、幸せも一人分。だから、人を巻き込んだほうがいいなって思う。自分のためじゃなくて、どれぐらい役に立てるかっていうつもりでやってると、その分人を巻き込むことになるので、幸せも1人分じゃなくなるんです。